介護の「2割負担」、公平に払ってもらうために必要なこと
10月26日、厚生労働省の介護保険部会で、介護サービスの自己負担を2割とする対象を広げる議論が行われました。
現在、自己負担は原則1割で、単身なら年間所得280万円以上で2割、340万円以上で3割です。厚労省はこの2割の基準を230万〜260万円に引き下げる4つの案を示しています。
あわせて検討されているのが、負担が増える方への「配慮措置」です。負担増を当面は月7,000円までに抑える案と、預貯金が一定額以下の方は申請すれば1割に戻す案。預貯金の基準として、単身700万円・500万円・300万円以下などの案が出ています。
ところが、ここで壁にぶつかっています。「預貯金を正確に把握できない」という問題です。

■ 所得だけで線を引くことの不公平
私は介護福祉士として夜勤の現場に立ち、成年後見人として高齢の方の財産管理にも関わっています。その中で強く感じるのは、「所得」だけでは本当の負担能力は測れないということです。
年金収入がそこそこあっても、預貯金はほとんどなく、毎月ぎりぎりで暮らしている方がいます。一方で、年金は少なくても、数千万円の預貯金を持っている方もいます。今の仕組みでは、前者が2割、後者が1割ということが起こり得ます。これは公平とは言えません。
ですから、預貯金を考慮に入れるという方向性自体は正しいと考えます。負担できる人に負担していただき、本当に苦しい人を守る。これが「応能負担」の本来の姿です。
■ 自己申告では「正直者が損をする」
問題は把握の方法です。すでに施設入居の費用を補助する「補足給付」という制度で、預貯金1,000万円以下という基準がありますが、確認は自己申告がベースで、金融機関に照会して厳密に確かめる例はごく一部だそうです。
正直に申告した人が負担し、申告しなかった人が軽くなる。そんな制度では、公平のための仕組みがかえって不公平を生みます。対象者が増えれば自治体の確認業務も重くなり、現場は回らなくなります。
■ 先送りはもう限界
厚労省は、資産を網羅的に把握するにはマイナンバーを活用して全ての金融機関に照会できる仕組みが必要だとしつつ、口座へのひもづけは任意で、早期の義務化は難しいとしています。
しかし、2割負担の拡大は2022年に検討が始まり、すでに4度先送りされています。その間も高齢化は進み、介護保険料を支える現役世代の負担は増え続けています。「把握が難しいから決められない」を繰り返すことこそ、世代間の不公平を広げているのではないでしょうか。
■ 私の考え
・負担は所得と資産の両面で判断する方向へ進めるべき
・そのためのマイナンバーと口座のひもづけ、照会の仕組みづくりを「将来の課題」にせず、期限を決めて進めるべき
・仕組みが整うまでは、月額上限などで急激な負担増を避け、必要なサービスの利用控えを防ぐべき
介護保険は、支える人と支えられる人の信頼で成り立つ制度です。「きちんと払える人がきちんと払っている」と誰もが納得できること。それが、この制度を次の世代につなぐための土台だと考えます。



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