デイサービス事業者、または訪問介護事業者が、同一のヘルパーをそれぞれの事業について、機能させられる
デイサービスのスタッフでありながら、空き時間は訪問介護事業のスタッフにもなれるというものです。
この新サービスが次年度介護保険法改正で導入され、人手不足対策の一つとして、現場も期待していました。
今までは、この両事業を併設する事業者の場合、そこに所属するヘルパーは、全く別の事業所として、それぞれに所属せねばならない状況でした。それにより、人員配置基準をクリアできないという現状がありました。
また、その場合は、1人工とはならず、それぞれのサービスに半々ずつ入っているヘルパーの場合、0.5人工換算とされるため、1人のヘルパーで事足りるサービスも、結局、2人雇わねばならないという現実もありました。
ただでさえ、人手不足の業界において、より多く人を雇わねばならないという現状は、極めて現場実態に即していないと言わざるを得ない状況でした。
しかし、訪問とデイサービスとの複合型サービスの場合、「一人二役」が可能となり、それぞれに1人工として認められるはずでした。そして、一人二役ならば、人手不足対策になることは既述の通りです。
また、利用者サイドから見れば、デイサービスの馴染みのヘルパーが自宅にも訪問してくれることとなり、そうした安心感が醸成される効果も期待されていました。
しかし、一転見送り。。。。。
「利用者にそれほどメリットがない」とのこと。しかし、現場では利用者の期待の声が多く聞かれたようです。また、事業者はそれに向けて、動き始めているところも多々散見されました。
既述の報酬減額といい、このデイサービスとの複合型サービス見送りといい、今回は、厚労省に訪問介護事業者がかなり振り回された結果となりました。
ただでさえ、人手不足の訪問介護において、一層の人手不足の深刻化を招きかねない今回の改定。厚労省は何をしたいのかが全く見えない改定といえるでしょう。
自分の家で介護は受けられなくなるか
個人宅訪問のヘルパーのなり手がいなくなれば、このタイトル現実もあり得ます。「結局は、施設に入るしかないのか」ということです。
しかし、施設に入ることができる人は、ごくわずか。今後も施設が無尽蔵に増えていくことは、税制的制約上、あり得ません。
今後も、「特別養護老人ホームが待機者多数」、一方で「有料老人ホームは一定の所得層しか入れない」という状況は、今後も続いていきます。
つまり、すぐに介護を必要とするお金のない人は、自宅介護を受けるしか方法がないことは、今後も変わらないと考えられます。しかし、そのいわば「自宅介護インフラ」が存亡の危機にあります。今回の減額で、人手不足にさらに拍車がかかることにもなるでしょう。
外国人ヘルパーは訪問介護ができない
では、一方で、外国人ヘルパーを増やすことも大切です。技能実習生やEPA(経済連携協定)等で、ベトナムやフィリピン、インドネシア等から、優秀なヘルパ-実習生が実際に、日本の「施設」で働いています。
そうです。このタイトルにあるように、外国人ヘルパーは訪問介護サービス提供が禁止されています。しかし、施設介護従事者として働く外国人ヘルパーは、多くの現場で高い評価を受けています。
だからこそ、訪問介護の現場でも、彼らの力は必要なのです。これもまた、デイサービスとの複合型サービスが実現できていれば、デイサービスに従事する外国人ヘルパーは、訪問介護への参入が認められるという例外規定もできたかもしれません。
以上より、今回の厚労省の訪問介護報酬減額改定は、人手不足に拍車をかけるだけでなく、人手不足を補うデイサービスとの複合型サービス先送りをはじめ、必要な規制緩和をも見送るという、全く意味不明な改定といえます。
そして、最後に書きましたが、では国内のヘルパ―不足を外国人ヘルパーで補えるかといえば、その規制緩和については、議論すらされていません。
私は、介護現場の人手不足対策、外国人ヘルパーへの規制緩和等、あらゆる手段を講じて、介護インフラを守っていけるよう、そして、国民・県民・市民の皆さんが安心の介護サービスが受けられるよう、引き続き声をあげて参ります。
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